2007年5月

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2007年5月31(木)

健康診断
今日は健康診断でした。例のごとくあれを取るのが面倒だったので、モカちゃんに「千円でどうかな」と打診したところ、「千円ならばやる！！」と驚愕の回答。確か小学校のときは百万円を要求したはず。「どうしてそんなに安くなったの？」と聞いたところ、「金銭感覚に現実感が出てきたんじゃないの。」ということで、あっさり受諾されこちらが引いてしまいました (笑)。モカちゃんって千円でミを売るの？
ところで、あれなんですが、実は健康診断の日を二日間違えて、おとといだと思っていたのです。なので、採取したのは三日前で、えーっと、三日間生ものを持ち歩くはめになったのは内緒です。
結果は例のごとく血糖値やや高め、肝臓の値やや悪し、ということで、まあこの程度なら大丈夫なので、これ以上悪くならないようにとのご指導でした。というか血糖値をごまかすため、昨日のお昼からなにも食べなかったのです。お腹すいた。さらに上に書いたように、三日前も同様の行動をとったので、どうも食生活が不規則。愚かとしか言いようがありません。
コメント
_通りすがり [水洗の場合も自分で出来ますよ。トイレットペーパーを＊器の中に敷いておいてその上に...]

_かがみ [あっ、そんな作戦があるのですか。でも物体の質量が極めて大きい場合、貫通したり、共...]

_miya [脂肪肝、高血圧、肥満の３コンボで精密検査だそうです。明日産業医との面談ですが、い...]

_通りすがり [あっ、ボク、脂肪肝ですよ。人間フォアグラ（をひオマケに中性脂肪の値が正常値を超え...]

_かがみ [miyaさんこんにちは、うーん、おそらく「やせなさい」とのご指導があるだけと思い...]

_かがみ [通りすがりさん、こんにちは。私も脂肪肝の傾向ありです。コレスティロール関係は問題...]

_miya [太り過ぎだといわれました。念のために肝臓の検査だけしたほうがいいとも。バリウムの...]

2007年5月25(金)

久々の鴨南蛮
今日は石川県からキャサリンさんが上京ということで、キャサリンさん、Sさん、Hさん、私の四人で恒例の鴨南蛮です。ところで Sさんは来週から出産のためしばらく北海道の実家へ帰り、その後産休となるので、しばらく会えなくなります。Sさんは10年前私が別の会社で作ったソフトウエアーを今までずっと保守して下さったのです。それなりの規模のシステムで、今は監視カメラを作っているという、自分が所属してたのがまったく恥ずかしいB社のFが無責任に作ったハードウエアーの出来が悪かったため (しかもなんとかしなければと言ったら、どうせ「今の私の会社」には分からないからごまかせと言った。仕方ないので私が直した)、多大な迷惑をおかけしました。というか今の会社に入るまで、どれだけ迷惑をかけていたかの認識が少なかった。ごめんなさい。とても感謝しています。というわけで元気なお子さまを。
コメント
_キャサリン [ずいぶん遅いコメントになってしまいましたがSさんは後から「かがみさんがあんなにお...]

_かがみ [キャサリンさん、こんばんは。本当に Sさんには色々お世話になりました。で、鴨です...]

2007年5月21(月)

はじめての値切り
二年程前に購入してとても気に入っていたヘッドフォン ATH-AD500 ですが、モカちゃんが貸して欲しいというので、土日の間 (会社で仕事してた) 貸したところ、床におきっぱなしにして踏んづけて壊しました (笑)。
いやはや親に似てがさつな性格で困ったものです。壊してしまったものは仕方がないのですが、いかに親とはいえ、人から借りたものを粗末に扱うのは問題なので、色々文句を言ってるうちにけんかになりました。
で、いつまでけんかしてても仕方がないので、今日はおんなじのを購入です。一番上のリンクと同様に会社の M さん (一応同じ学部の後輩、でも相手は博士さま) と一緒に行って値切ってもらおうかと思ったら、なんと今日は学会で不在とのこと。まったく肝心なときに...この役立たず。まずい、M さんは若いけれど、私の上司じゃあないですか。こんなこと書いたら給料が減るか、最悪首になってしまいます。あっ、でも、こんな一大事に不在な上司はやはり役立たず。
ほんと役立たずです (笑)。
仕方ないので、一人で会社の近くのお店に行ったら値札が 9,800円。二年前も同じ値札で M さんが 7,800円に値切ってくれたのでした。そこで勇気を出して、
「前に買ったときは 7,000円だった (嘘)」
と店員さんに言ったところ、少々お待ちくださいということで、「本来 8,000 円がぎりぎりですが、もうひと頑張り、7,800円でいかがでしょう。」と相成りました。
おおっ、私でも M さんと同じ金額分値切れるではないか (^^。なんか得した気分になりましたが、考えてみると丸々 7,800円損してるのは明白で、まあ新品になったということで、これは我慢するしかありません。余談ですがモカちゃん用には別途 3,000円くらいのヘッドフォンを購入しました。大散財のお話でした。
コメント
_miya [ヘッドフォンに７０００円！セレブですね！僕はソフマップで９９９円で購入したものを...]

_かがみ [miyaさんこんばんは。いや、実は私もこのヘッドフォンの音を聴くまでは、それほど...]

_通りすがり [うーん、モカちゃん・・・もしかしてお片付けはニガテなんでしょうか。かくいう私は昔...]

_かがみ [そうなんですよ。やはり遺伝というかなんというか、ものを使い終わるとその辺りに放置...]

2007年5月20(日)

ω矛盾とうちゃん
とうちゃん「あれもやんなくちゃ、これもやんなくちゃ...」
偉い人「なにかできたの」
とうちゃん「あれもできてない、これもできてない...」
あかん、ω矛盾ではなく単なる矛盾だ (ω^ω)/U
(付記) ω矛盾かあちゃんについては Wikipedia を参照して下さい。

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2007年5月18(金)

理論的には大丈夫なはず
本日真っ青になりました。実は一月程前組み込み機材の工業用 CF を 750 枚程発注したのです。大丈夫と指示を出したのはわたし。で、大丈夫な根拠は組み込み Linux マシンが、その CF の LILO を認識してちゃんとブートしたから。実はブートの途中で止まったのですが、スレーブの CF にフォーマットが変なのを入れてて、それに対する fsck で止まっていると思ったのです。

まあここまで行けば後はマウントするだけなので、理論的には大丈夫なはず

悪い癖がでました (笑)。いや、ほんと笑いごっちゃないのですが、最初のロットの CF が届いたので、真面目に環境を作りブートしようとしたのです。

ところがマウントに失敗してたのはスレーブではなく、マスターの / パーティションでした (-_-)

あわわわっ、工業用なので一枚二万円ですよ。ということは合計千五百万！！
お金も大変ですが、これから別のを評価して発注してたら納期に間に合いません。どうしよう。なんか一時間以上放心状態でした。ほんと会社やめたくなりました。でもやめると生活に困るし、何より無責任過ぎます。
というわけで CF の作り方を再検討です。LILO は成功してブートの途中までは進行しているので、fdisk は問題なく、ファイルのフォーマットが問題なのかも知れません。フォーマットは ext2 タイプで割と新しい Linux マシンで行ったものです。試しに古いヴァージョンの Linux マシンでフォーマットしました。その後新しいヴァージョンの Linux マシンで初期イメージファイルを tar で書き込み (いくらなんでも tar で問題は生じないでしょう)、再度実験しました。するとこんどは fsck は問題なく通過しましたが init が存在しないというメッセージが出て、途中で止まります。
ちゃんと起動するマシンのスレーブに刺してマウントすると、あれま、ファイルシステムが壊れています。ls で見た感じくらいだと大丈夫なのですが、中身がぐちゃぐちゃ。例えば /bin/sh なんかも起動できません。
もしかして tar が悪い？そんなばかな。そうは言うもののこの期に及んでは、「理論的に」などとほざいている余裕はありません。古いマシンで tar 書き込みを行いました。これで起動しなかったらまじアウトです。私は基本的に無神論者だと思っていますが、ほんと「神様〜起動して下さい」と祈りました。日和見主義です。
で、とにかくちゃんと起動して問題なく動作が始まりました。
いやはや上の作業時間は放心状態の一時間を含めて、四時間程度なのですが、精魂尽き果てました。疲れた〜。
(教訓) 数学の世界ではともかく、物理世界、とくにコンピューターの機材選定で「理論的には大丈夫なはず」は通用しない。というか何度も失敗してるのですが、学習しませんなあ (愚)。
(追記) というわけで色々やること多く、明日もあさっても仕事です。こんな状態が三ヶ月以上続きます。あっ、でも体はきついのですが、割と躁状態です。仕事の内容は社会的に有用なものなので、とても充実感がありますから。
コメント
_miya [無事解決するところが、なんだかんだと仰ってもかがみさんらしいですね。僕だとパニッ...]

_かがみ [miyaさん、こんにちは。うーん、もう少しどうでも良いことの場合、椅子をけっとば...]

2007年5月15(火)

もうだめ
昨日おうちに入ろうとして、マンションの玄関に PASMO かざした。三秒くらい気がつかなかった。もうだめ(^^。
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2007年5月14(月)

越後屋
生まれてからずっと思い違いしていた。
ふぉふぉふぉっ、越後屋、おぬしもわるのよう。
は間違い。
ふぉふぉふぉっ、越後屋、おぬしもわるよのう。
が正しいらしい。んっ、どっちだかまた分からなくなってきた (笑)。
コメント
_通りすがり [わたしは「ふぉっふぉっふぉ」だと思ってました。え？そこはどうでもいい？ちなみに、...]

_かがみ [むむむっ、鋭いご指摘。全く気がつきませんでした。それはそうと私も札束を眺めて「ふ...]

_miya [ぼくは縮緬問屋をちりめんじゃこを扱う問屋だと思っていました。]

_Y.Kumagai [私もちりめんじゃこ(以下省略;^^)]

_かがみ [すまぬ。「縮緬問屋」読めない (弱)]

_通りすがり [ズバリ、ちぢれめん（‾ー‾）←根拠のない自信]

_かがみ [平凡に「ちりめん」で良いのでしょうか？というかネットで調べて、水戸黄門が縮緬問...]

2007年5月12(土)

近況報告
今日も仕事してます。
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2007年5月8(火)

結局コーエン実数
集合論雑記目次
Fuさんの別場所での記事がヒントになった、というか教えて頂いた感じですが、要するに 2007年5月3日の記事、整列不可能な実数列で現れた $\mathbb{P}=\mathcal{F}(\omega~\times~\omega,~2)~\in~M~$ の Generic $G~$ における強制拡大 $M[G]~$ 上での列 $a_i~=~\{~n\in\omega\,:\,~\exists{p~\in~G}(p(i,n)=1)\}~$ って $f=\bigcup{G}~:~\,\omega\times\omega~\rightarrow~2~$ の第一成分をパラメーターとして $f_i:\,\omega~\rightarrow~2~\quad~(i\in\omega)~$ と考えたものと同じなのですね。実際 $M[G]~$ で
$f(i,n)=1~\leftrightarrow~\langle~(i,n),1~\rangle~\in~\bigcup{G}~~\leftrightarrow~\exists{p\in{G}}(\langle~(i,n),1~\rangle~\in~p)~~\leftrightarrow~\exists{p\in{G}}(p(i,n)=1)~$
どうしてこんなことに気がつかなかったのだろう。そう考えるとたしかに前の記事での $A~$ 上の整列順序が定義不可能なのは当然な感じもします。そもそも定義可能だったらGeneric にならないでしょう。で Fu さんの議論は $\mathbb{P}=\mathcal{F}(\lambda~\times~\omega,~2)~\in~M~\quad~~~(\omega\le{\lambda})~$ から同様に $f_\alpha~\quad~(\alpha<\lambda)~$ を作り、そこから任意可算個選んでも同様な事実がなりたつということでしょうか。そこんところがいまいち。なんというか上の $f_i~$ は元のモデル上区別がつきにくい割には、独立性もある感じがするので、「定義可能独立集合」とかいう概念を上手に定義できないのだろうか。例えば $A=\{f_0,~f_0~+~1,~f_0+2,\cdots\}~$ などは明らかに $\mathrm{HOD(A)}~$ 整列可能で、これはなんらかの従属性を持ってる感じがするので。
(関連リンク) Fuさんのとこの「選択公理は証明できない」
コメント
_Fu [あ、いえいえ、むしろこちらが教えて頂いてる感じです。かがみさんの記事を見るまで、...]

_かがみ [Fuさん、こんばんは。いやいや教えて頂いたのは間違いなく私の方です。そもそも私が...]

2007年5月6(日)

連休最終日
今日は九連休の最終日です。例のごとく昼夜逆転生活となりました。連休前の目標としては、数学、仕事、自作サーバー更新がありましたが、おのおの達成率は下記の通り。

数学 10%

仕事 100%

自宅サーバー更新 0%

結局連休中の四日間は仕事してたという (涙)。こればかりは達成率100%でないとおこられますから。自宅サーバーの更新に関しては、最初からきっとだめだろうなとの予感はありましたが、誠に不幸なことに的中しました。ほんとは数学三昧の生活をしたかったのですが、なかなか仕事と両立するのは難しい面もあり、まあ選択公理に関して一つ記事を書いたので、ごかんべんのほどを。というわけで明日から会社ですが、前にも書いた通り、めずらしく本気モードにならないとまずい状況です。この日記の更新も滞る可能性がありますが、面白そうな話題があったら何か書こうとは思いますし、半年後には盛大に復帰する予定ですので、見捨てないで下さい(^^。
コメント

2007年5月5(金)

怪奇選択公理男
いつも明言してますように、私は選択公理が大好きです。どうしてこんなに選択公理が好きなのだろう。いろいろ考えた末ようやくその理由が分かりました。
(ラッセルの言葉)
「無数の靴から、左足用の靴を集めてくるのは簡単だが、無数の靴下から、左足用の靴下を集めてくるのは難しい」

これですよ、これ！！
要するに二元集合の無限列 $X_\alpha~=~\{l_\alpha,~r_\alpha}\quad~(\alpha~<~\lambda)~$ の直積集合 $\mathrm{\Pi}_{\alpha~<~\lambda}{X_\alpha}~$ を考えた時 $l_\alpha~$ が左の靴だったら普通は左右の区別がつくので、例えば $(l_\alpha)_{\alpha~\in~\lambda}~$ を直積の要素として具体的に指名できるわけです。ところが靴下の場合、通常左右の区別がないので、選択公理なしでは $\mathrm{\Pi}_{\alpha~<~\lambda}{X_\alpha}~=~\emptyset~$ となる可能性もあるわけです。不自然だとは思いますが。
ところでこちらも常々書いているよう、私はとてもずぼらで杜撰な性格です。なのでよく靴下の片方が行方不明になるのです。さらにそれが積もり積もって、朝靴下をはこうかと思った時、全部違う種類のがひとつずつしか見つからない場合もあるのです。そんなときはどうするかと言いますと...
仕方ないので、似たような色のを二つ選んで左右にはいてゆく (笑)
どうせ靴はいてるのでばれはしません(^^。従って少なくとも私の靴下集合に関して、ラッセルの指摘は誤りです。靴下集合も左右識別可能なのです。
さらに靴集合に関しても、一般より強い選択公理が成立します。特に小さい子供なんかがそうですが、靴の左右は識別が難しい場合があります。ところがこのような事情もあり、私の左右の靴は非常に識別しやすいのです。従って、いまいち意味不明ではありますが、強い意味の選択公理が成立します。選択公理ばんざーい ← たんなるばかですな。
コメント
_通りすがり [マジレスしちゃおっかな（ｗ。今突然閃いたのですが、ラッセルの喩えって要するに「靴...]

_かがみ [通りすがりさん、こんにちは。そうですね。有限個だと存在記号の解釈で、無理矢理片方...]

2007年5月4(金)

新江ノ島水族館
さすがに連休中自宅にこもりっきりなのもあれなので、本日は奥さまと新江ノ島水族館に出かけました。楽しかったですよ。モカちゃんですか？「友達と遊びに行く」ということで振られました (笑)。

コメント
_miya [おつかれさまです。あの高い塔からビューンと落ちるやつ乗られました？]

_かがみ [miyaさん、こんにちは。すみません、高い塔からビューンと落ちるやつ、って知らな...]

_miya [大変失礼いたしました。八景島シーパラダイスと勘違いしていました・・・]

_かがみ [そういえば、確かに八景島シーパラダイスには落ちるのがありますね。モカちゃんが小さ...]

2007年5月3(木)

整列不可能な実数列
集合論雑記目次
2007年4月24日の良くわからないの続きです。今日は Jech 本に記載されている整列不可能な実数列の「具体例」について記載します。内容は丸写しに近いのですがご容赦を。さらに「具体例」といっても、強制や $\mathrm{HOD}~$ (遺伝的に順序数定義可能な集合)の概念を使用するので、あんまり具体的ではないのでありますが。まず順序数定義可能集合 $\mathrm{OD}~$ の概略から。本日は直感的な定義と結果のみということで、正確な定義に関しては ( $L~$ と同様に)論理式のコード化が必要なので、 $L~$ について色々書いてから記載する予定です。まず $\mathrm{OD}~$ の直感的定義から。

(定義) すべての自由変数が表示された論理式 $\varphi(x_0,\cdots,x_{n})~$ と順序数 $\alpha_1,\cdots,\alpha_{n}~$ が存在し $\forall{x}(\varphi(x,\alpha_1,\cdots,\alpha_{n})\leftrightarrow~~x=a)~$ が成立するとき $a~$ を順序数定義可能 (ordinable definable) と呼ぶ。順序数定義可能な集合全体からなるクラスを $\mathrm{OD}~$ と記す。
$\mathrm{OD}~$ では対の公理、合併の公理、べき集合の公理等は成立しますが、推移的でないので外延性の公理が成立しない場合が多く、実際 $V=\mathrm{OD}~$ である場合を除いては、集合論のモデルとはなりません。ところがこれには上手な逃げ道があり、遺伝的に順序数定義可能なクラス $\mathrm{HOD}\subset~\mathrm{OD}~$ を定義することが可能です。
(定義) $\mathrm{HOD}~=~\{x~\in~\mathrm{OD}~\,:\.~\mathrm{TC}(x)\subset\mathrm{OD}\}~$
ここでは証明は書きませんが、 $\mathrm{HOD}~$ は $\mathrm{ZFC}~$ のモデルとなります。なお $\mathrm{TC}(x)~$ は $x~$ の推移的閉包を表すこととします。次の事実は簡単ですが便利です。
$x\in\mathrm{OD}~\wedge~x\subset\mathrm{HOD}~\rightarrow~x~\in~\mathrm{HOD}~$
もうすこし一般に、「原子」を追加した順序数定義集合の概念を考えることが可能です。
(定義) $A_1,\cdots,A_m~$ を集合とし順序数と $A_1,\cdots,A_m~$ から定義可能な集合全体のクラスを $\mathrm{OD}[A_1,\cdots,A_m]~$ と書く。即ち $a~$ が $\mathrm{OD}[A_1,\cdots,A_m]~$ の要素である条件は論理式 $\varphi(x_0,x_1,\cdots,x_n,y_1,\cdots,y_m)~$ と順序数 $\alpha_1,\cdots,\alpha_n~$ が存在し $\forall{x}(\varphi(x,\alpha_1,\cdots,\alpha_n,A_1,\cdots,A_m)~~\leftrightarrow~x=a)~$ が成り立つこと。
各 $A_i~$ の要素まで言及した定義可能性を考えることも可能です。
(定義) $A_1,\cdots,A_m~$ を集合とし順序数と $A_1,\cdots,A_m~$ とその要素から定義可能な集合全体のクラスを $\mathrm{OD}(A_1,\cdots,A_m)~$ と書く。即ち $a~$ が $\mathrm{OD}(A_1,\cdots,A_m)~$ の要素である条件は論理式 $\varphi(x_0,x_1,\cdots,x_n,y_1,\cdots,y_m,z_1,\cdots,z_m)~$ と順序数 $\alpha_1,\cdots,\alpha_n~$ さらに $1~\le~i~\le~m~$ に対し $A_i~$ の有限列 $s_i~$ が存在し $\forall{x}(\varphi(x,\alpha_1,\cdots,\alpha_n,A_1,\cdots,A_m,s_1,\cdots,s_m)~~\leftrightarrow~x=a)~$ が成り立つこと。
$\mathrm{HOD}[A_1,\cdots,A_m],~\mathrm{HOD}(A_1,\cdots,A_m)~$ も同容に定義されます。 $\mathrm{HOD}[A_1,\cdots,A_m]~$ は $\mathrm{ZFC}~$ のモデルとなりますが、 $\mathrm{HOD}(A_1,\cdots,A_m)~$ の方は $A_i\,~(1\le~i~\le~m)~$ に具体的な整列順序があたえられているとは限らないので、選択公理を満たすとは限りません。しかしながら $\mathrm{ZF}~$ のモデルにはなります。
後はうまいこと $A~$ を「作り」 $\mathrm{HOD}(A)~$ が選択公理を満たさないようにすれば良いのです。もっとはっきり言うと $\mathrm{HOD}(A)~$ で $A~$ は整列不可能であるようにするのです。ここからは強制の議論です。 $\mathrm{ZFC}~$ のモデル $M~$ を一つ固定します。強制条件として
$\mathbb{P}=\mathcal{F}(\omega~\times~\omega,~2)~\in~M~$
即ち $\omega~\times~\omega~$ の有限部分集合から $\{0,1\}~$ への関数全体の集合を考えます。順序は例のごとく $p\le{q}~\leftrightarrow~q\subset{p}~$ で与えます。 $G~$ を $M~$ 上 $\mathbb{P}~$ -Generic とし、 $M[G]~$ を強制拡大とします。 $M[G]~$ 上で次の列 (というか集合) を考えます。 $a_i~=~\{~n\in\omega\,:\,~\exists{p~\in~G}(p(i,n)=1)\}~$ そして $A~=~\{~a_i~\,:\,~i~\in~\omega\}~$ (名称に関しては追記参照のこと)。
$M[G]~$ で $\mathrm{HOD}(A)~$ を考えると、このクラスは選択公理を満たしません。これから証明するように $A~$ の要素を順序数を使って「区別する」のは難しいのです。まず簡単な補題から。
(補題) $a_i~$ の名称を $\dot{a}_i~$ とするとき、任意の $p~\in~\mathbb{P},\,~i\neq{j}~$ に対し $p||-\dot{a}_i~\neq~\dot{a}_j~$
(証明) 実際 $i\neq~j~$ とすると $\forall{p\in\mathbb{P}}\exist{q\le{p}}\exists{n\in\omega}(q(i,n)=1~~\wedge~q(j,n)=0)~$ が成立する。

今 $A~$ が $\mathrm{HOD}(A)\subset~M[G]~$ で整列可能であると仮定とすると、埋め込み $f:\,A~\rightarrow~\mathrm{On}~$ で $f~\in~\mathrm{OD}[A,s]~$ なるものが存在します。ここで $s=\langle~s_1,\cdots,s_m~\rangle~$ は $A~$ の要素の列です。 $f~$ を (間接的に) 使用すれば、任意の $a~\in~A~$ が $\mathrm{OD}[A,s]~$ の要素となります。特に $a~\in~A~$ として $s_1,\cdots,s_m~$ いずれとも異なるものを選ぶと、論理式 $\varphi(x_0,x_1,\cdots,x_n,y,z)~$ と順序数 $\alpha_1,\cdots,\alpha_n~$ が存在し
$M[G]|=\forall{x}(\varphi(x,\alpha_1,\cdots,\alpha_n,A,s)~~\leftrightarrow~x=a)~$
が成立します。ここで $p\in{G}~$ として
$p||-~\forall{x}(\varphi(x,\alpha_1,\cdots,\alpha_n,\dot{A},\dot{s})~~\leftrightarrow~x=\dot{a})~$
が成立するものをとります。ドット記号はおのおのの名称とします(*)。さらに $s=\langle~s_1,\cdots~s_m~\rangle~$ においておのおの $s_k\,(1~\le~k~\le~m)~$ は $A~$ の要素なので $q\le{p},\,q\in{G}~$ と $i,{j_1},\cdots,{j_m}~\in~\omega~$ が存在し
$q||-\dot{a}=\dot{a}_i~\wedge~\forall{1\le~k~\le~m}(\dot{s}_k~=~\dot{a}_{j_k})~$
が成り立ちます。ここから $G~$ を忘れた純粋な強制の議論となります。即ち $i\neq{j}~$ と $r\le{q}~$ で
$r||-~\varphi(\dot{a}_j,\alpha_1,\cdots,\alpha_n,\dot{A},\dot{s})~$
が成立するものの存在を示し、矛盾を導きます。 $j~\in~\omega~$ として $i,j_1,j_2,\cdots,j_m~$ と一致せず $\forall{n\in\omega}(~\langle~j,n~\rangle~~\notin~\mathrm{dom}(q))~$ を満たす最小のものとします。ここで $\omega~$ 上の $i,j~$ を交換する互換を考えます。これは自然に ( $p~\in~\mathbb{P}~$ の定義域の第一座標を置換することにより) $\mathbb{P}~$ の自己同型 $\pi:\,\mathbb{P}~\rightarrow~\mathbb{P}~$ を導きます。さらに $\pi~$ は $M^{\mathbb{P}}~$ 上の全単射を導きます。言語の濫用で同じ記号を使います。 $\pi:\,M^{\mathbb{P}}~\rightarrow~M^{\mathbb{P}}.~$
一般に $\mathbb{P}~$ の自己同型 $\pi~$ に対し次の事実は容易に分かります。
$p||-\varphi(\dot{x_1},\cdots,\dot{x_n})~\leftrightarrow~~\pi(p)||-\varphi(\pi(\dot{x_1}),\cdots,\pi(\dot{x_n}))~$
また今までの証明で現れた名称に関しては、次の事実が成立します。
$\pi(\dot{a}_i)~=~\dot{a}_j~$
$\pi(\dot{a}_j)~=~\dot{a}_i~$
$\pi(\dot{a}_k)~=~\dot{a}_k~\quad~(k\neq~{i},~\,~k\neq{j})~$
$\pi(\alpha_k)~=~\alpha_k~\quad~(1~\le~k~\le~n)~$
$\pi(\dot{A})~=~\dot{A}~$
$\pi(\dot{s})~=~\dot{s}~$
従って
$q||-~\varphi(\dot{a}_i,\alpha_1,...,\alpha_n,\dot{A},\dot{s})~$
$\pi(q)||-~\varphi(\dot{a}_j,\alpha_1,...,\alpha_n,\dot{A},\dot{s})~$
ところで $j~$ の選び方から $\forall{n~\in~\omega}(\langle~i,n~\rangle~\notin~\mathrm{dom}(\pi(q)))~$ が成立するので $q~$ と $\pi(q)~$ は compatible です。従って $r\le~{q},\,~r\le\pi(q)~$ が存在し ( $r=q~\cup~\pi(q)~$ でよい)
$r||-~\varphi(\dot{a}_i,\alpha_1,...,\alpha_n,\dot{A},\dot{s})~$
$r||-~\varphi(\dot{a}_j,\alpha_1,...,\alpha_n,\dot{A},\dot{s})~$
となり矛盾です。あんまり具体的じゃないや。
(結論) 上記 $\mathrm{HOD}(A)~$ は「ZF + 選択公理の否定」のモデルである。
(追記 *) 名称をきちんと書くと
$\dot{a}_i~=~\{\langle~\check{n},p~\rangle~\,:\,~n\in\omega~\wedge~p(i,n)=1\}~$
$\dot{A}~=~\{\langle~\dot{a}_i,1~\rangle~\,:\,i~\in~\omega\}~$
となります。というかこちらから議論を始めてもよさそう。たぶん。
(関連リンク) Fuさんのとこの「選択公理は証明できない」
(参考文献)
Kenneth Kunen 著 Set Theory (OD, HOD に関して)
Thomas J. Jech 著 Set Theory (整列不可能な実数列について)
コメント
_Fu [整列不可能というので、もっと奇妙な集合かと思いきや、少なくとも M[G] ではご...]

_かがみ [あっ、なんか楽しんで頂けたようで、うれしいです。で、ほんとは私も直感的につかみき...]